「もうやだもう無理もう食べらんない」
「食いすぎ」
「だってお正月だし。……流川くんなんともないの」
「まあー、うん」
「まだ食べてる……。太るよ?」
「お前が?」
「うるさいわたしふとらない」
「棒読みじゃん」
「いいの! 痩せるもん!」
「お前はそれ以上痩せなくていい」
「……なんで」
「抱き心地がやわら」 「あーっ! 大丈夫です言わなくていい! 聞いたのが悪かった!」
「……」

「……ねえ、まだ入る?」
「ん?」
「いやお腹いっぱいかなと」
「まあ……まだ食えるけど」
「そう」
「?」
「ちょっと待ってて。……持ってくるから」

「お待たせ」
「ケーキ?」
「ケーキ」
「なんで」
「えっ、誕生日、でしょう?」
「……」
「忘れてたのね。お誕生日おめでとうございます」
「どうもっす」
「食べる?」
「たりめーだ」
「よかった。買うか迷ったのよね」
「うまい、よ」
「それはよかった」
「……食わねえの?」
「んー、」

「……
「ん?……っ、ぅ」
「ん」
「いきなりなに」
「これなら太らずにケーキ食える」
「なんていうか、まあ……そうね」
「うん」
「でもあとで食べるけどね!」
「……好きにすれば」
「お、珍しくなんか不服そう……?」
「べつに」
「あ、こら寝るな」
「……」
「もう。……寝るならわたし隣入る」
「誘ってんの?」
「違うわ馬鹿。流川くんが休みなんて珍しいんだから、少しくらい甘えさせてください」
「……ん」
「やった大好き」
「……俺誕生日だし好きなことしていいよね」
「やっぱり流川くんなんてこのまま寝て太っちゃえばいいんだわ」
「はいはい」
「…………っ!」

2012.01.01